体を成す からだをなす – FRAC Grand Large収蔵作品セレクション展
2025 年 7 月 19 日(土) ~ 10 月 12 日(日)
イベント日数: 74 日間
※ 2025 年 7 月 23 日(水) と 2025 年 7 月 30 日(水) と 2025 年 8 月 6 日(水) と 2025 年 8 月 13 日(水) と 2025 年 8 月 20 日(水) と 2025 年 8 月 27 日(水) と 2025 年 9 月 3 日(水) と 2025 年 9 月 10 日(水) と 2025 年 9 月 17 日(水) と 2025 年 9 月 24 日(水) と 2025 年 10 月 1 日(水) と 2025 年 10 月 8 日(水) はイベントが開催されません。場所: 銀座メゾンエルメス フォーラム 8階~9階
エルメス財団は、ダンケルク(フランス)にあるフランスの現代美術地域コレクションFRAC Grand Large(フラック・グラン・ラルジュ)が所蔵する作品とともに、グループ展「体を成す からだをなす」を開催いたします。
銀座メゾンエルメス ル ・フォーラムでは、現代社会とアートの課題への取り組みとして、近年、他機関とのより一層の協働を通じたエコシステムを構想する試みを続けており、本企画は、そのひとつのかたちとして生まれました。FRAC Grand Large ― Haut-de-Franceは、1982年に前身であるFRAC Nord ― Pas de Calais(フラック・ノール=パ・ド・カレ)のリールにおける設立から、1996年にダンケルクへの移転を経た現在までに、750人のアーティストやデザイナーによる2000点を超える公共コレクションを形成してきました。
これらは、1960年代以降のフランスおよび国際的な現代美術およびデザインの様々な潮流を紹介するもので、FRAC Grand Largeは、美術館やアートセンターと連携し、国境を越えたアートネットワークを構築してきたほか、これらを地域内の共有資産として学校や病院と展覧会などを行うなど、地域のハブとなる活動も推進しています。
同コレクションは、現代美術に特有なメディア横断型の作品(絵画、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンス)のほか、デザイン分野の作品を特徴としますが、これらには、アートや社会の中に潜むヒエラルキーやジェンダーといった今日的な問題が映し出されています。
さらに、表現メディウムの変容や境界に加え、ベルギー、そして海を挟んだ英国とも近いダンケルクが歴史的に向き合ってきた境界も、現代の国際社会が直面する覇権争いなどの地政学的緊張やその流動性をも示唆するものです。「体を成す からだをなす」は、フランス語の「Faire Corps:一体となる、調和する」に基づいた展覧会で、FRAC Grand Largeのディレクター、ケレン・デトンと共に、<社会的身体>をテーマに、ヨーロッパ(フランス、イギリス、ベルギー、イタリア、ギリシャ、ルーマニア)、アメリカ、日本出身の13人のアーティストによる、1973年から2025年までの作品を紹介します。
「アートとは、人生をアートよりも興味深いものにする」とは、フルクサスのアーティスト、ロベール・フィリウの言葉ですが、ここには、生活とアートの両義的な関係が示されいるようです。
本展では、アートによってもたらされる日常や秩序の可変性に着眼しつつ、個人あるいは集団的に機能する社会的な身体を浮き彫りにする作品を考察してゆきます。
身体と密接に結びついた芸術形式であるパフォーマンスとして、ヘレン・チャドウィックのジェンダーを問う《In the kitchen》や、アンドレ・カデレの《丸い木の棒》など1970年代を代表する写真から始まり、アナ・トーフのヴィデオ《サイドショー》や、ネフェリ・パパディムーリのコスチュームとヴィデオ作品《森になる》などを紹介します。
また、脆弱な身体を象徴的に扱うジェシー・ダーリングやポール・マヘケ、外国語や母国語の狭間を問うタレク・ラクリッシ、そして技術と知の共有を媒介にした創作実践から作品を制作するアーティスト・コレクティヴのアバケ/オバケや大阪在住の笹原晃平の作品も展示され、多様な視点や行為が交差する場を形成します。
また、ダンケルクで短い生涯を終えたアーティスト、クリスティーヌ・デュクニットのドローイングは、描くことで痕跡が消滅するような実験的な態度で存在の境界を問いかけています。
開館時間
11:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日
水曜日
※開館日時は予告なしに変更の可能性がございます。
入場料
無料
会場
銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階
(中央区銀座5-4-1 TEL 03-3569-3300)
主催
エルメス財団、FRAC Grand Large ー Hauts-de-France
後援
在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
*FRAC Grand Large ― Hauts-de-Franceは、フランス政府(Direction régionale des affaires culturelles des Hauts-de-France)、オー=ド=フランス地域圏、ダンケルク・グラン・リトラル/都市共同体の支援を受けている。
アーティストプロフィール
Artists Profile
名前(日本語) | 名前(英語) | 生年 | 出身 | 解説(全文) |
---|---|---|---|---|
アバケ/オバケ | Åbäke | 2000年結成 | ロンドン(イギリス) | アート、パフォーマンス、グラフィック・デザインの分野で活動するアーティスト、出版社、作家、教育者、デザイナーからなるコレクティブ。文脈や芸術のメカニズムについて考察しながら、物語を伝えるオブジェやテキストを制作。グラフィックが文化やコミュニケーションをどう形成するかという問いから、デザインの社会的側面を探求する分野横断的かつ参加型のプロジェクトを行う。 |
アンドレ・カデレ | André Cadere | 1934年生、1978年没 | ワルシャワ(ポーランド) | 《Barres de bois rond(丸い木の棒)》(1970–78)を持って展覧会や公共空間に登場。芸術空間や制度を批判する急進的な芸術形式を提示。没後もコンセプチュアル・アートとして評価が高まり、主要美術館に収蔵。2023年にはCAB財団で回顧展が開催された。 |
ヘレン・チャドウィック | Helen Chadwick | 1953年生、1996年没 | ロンドン(イギリス) | 「エレガントでありながら型にはまらないフォルム」でステレオタイプな身体認識に挑戦。女性の役割、アイデンティティ、表現をテーマとし、ターナー賞に女性で初ノミネート(1987)。主要美術館に収蔵。 |
ジェシー・ダーリング | Jesse Darling | 1981年生 | オックスフォード(イギリス) | 正史と対抗する歴史、身体の脆弱性、生物の死を主題に、人工物や神話的シンボルを再文脈化。傷つきながらも解放された形が脆さとケアの必要性を象徴。2023年ターナー賞絵画部門受賞。 |
クリスティーヌ・デュクニット | Christine Deknuydt | 1967年生、2000年没 | ダンケルク(フランス) | 家具、動物、風景、宇宙的テーマなどが繰り返し現れる。短い詩的テキストと具象的な要素を組み合わせる。錬金術的素材と詩情に満ちた「ハイブリッド化」手法が特徴。 |
ジェシカ・ダイアモンド | Jessica Diamond | 1957年生 | ニューヨーク(米国) | グラフィティ風のスローガンや絵で権力・セックス・ビジネスを批判。消費社会の物質主義を拒否。草間彌生に影響を受けた作品群「草間へのトリビュート」も制作。 |
ポーリーヌ・エスパロン | Pauline Esparon | 1993年生 | エヴルー(フランス) | 素材の固有特性を探求し、一般的な技術に工夫を加えることで新たな用途を創出。産業廃棄物にも価値を見出す。ル・モビリエ・ナショナルやCNAPに作品が収蔵。 |
タレク・ラクリッシ | Tarak Lakhrissi | 1992年生 | シャテルロー(フランス) | 詩人・アーティスト。インスタレーションや映像など多様な形式で、言語の変容や魔法、暗号、クィア的愛の物語などを探求。詩的かつ政治的な表現が特徴。 |
ポール・マへケ | Paul Maheke | 1985年生 | ブリーヴ=ラ=ガイヤルド(フランス) | ドローイング、映像、パフォーマンスなどで、周縁化された身体や歴史を可視化/不可視化する。幽霊や精霊も登場させ、想像力や他者との関係性を再考する。 |
ブルーノ・ムナーリ | Bruno Munari | 1907年生、1998年没 | ミラノ(イタリア) | 未来派に共鳴しつつ、グラフィック・プロダクトデザイン、絵本制作など多分野で活動。「コンパッソ・ドーロ」3度受賞、アンデルセン賞も受賞。 |
ネフェリ・パパディムーリ | Nefeli Papadimouli | 1988年生 | アテネ(ギリシャ) | 彫刻、映像、パフォーマンスを用い、前衛芸術の伝統と「中間」メディアを融合。国際ビエンナーレ出展、ピエール・カルダン賞など多数受賞。 |
笹原晃平 | Kohei Sasahara | 1984年生 | 東京(日本) | 環境や関係性の調査からインスタレーションを制作。「人間の生活」をテーマに人類学・建築学と接続する多様な方法論で表現を展開。 |
アナ・トーフ | Ana Torfs | 1963年生 | モルツェル(ベルギー) | 映像、写真、版画、スライド、タペストリーなどを用い、知覚・記憶・表象の問題を探る。日本でも近代美術館で展示。 |
ご来場に際してのお願い・ご案内
◆銀座店内混雑緩和のため、ソニー通り側のエレベーターからご案内いたします。
※フォーラムへの入退場に店舗内のエレベーターをご使用頂くことができませんのでご注意ください。
◆混雑時は一時入場をお待ち頂くことがございます。
「Le Forum」について
アーティストと共に創造する空間「フォーラム」は、エルメス財団の運営するアート・ギャラリー。
*「フォーラム」はエルメス財団主催による活動です。 エルメス財団(英語サイト)とは、2008年にパリで発足した非営利団体で、 エルメスを母体としながらも、独立した方針を掲げ、芸術や技術伝承、 環境問題、教育などに関わるプロジェクトの支援を行っております。
前回以前の情報
内藤礼 生まれておいで 生きておいで
「東京国立博物館にて 9 月 23 日(月・休)まで開催されている同名展覧会」と一連の流れを持って構想された展示イベント
2024 年 9 月 7 日(土) から 2025 年 1 月 13 日(月) まで 107 日間開催されました。
エコロジー:循環をめぐるダイアローグ ダイアローグ2 「つかの間の停泊者」 ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカ
アートにおけるエコロジーの実践を問う「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」展を個展とグループ展の2つのダイアローグ構成にて開催するイベント
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